ナイトフィッシング特集

安全な夜間航行を支える最新艤装を「ワイズギア」で

「BoatCLUB 2016年10月号(舵社発行)」に、弊社が協力したナイトフィッシング特集記事が掲載されました。

安全な夜間航行を支える最新艤装を「ワイズギア」で

[文]水野一彦 [写真]山岸重彦、宮崎克彦(BoatCLUB) [協力]三保マリーナ

ボートの艤装を考えるとき、夜に走るとか釣りをするというのは、一つの大きなテーマとなる。
ここでは「ワイズギア」の取り扱う“夜艤装”アイテムをフル装備したヤマハ・ファースト26を紹介。
実際に日没前後の海に出て、その利便性を体感した。

サーチライトなど、夜間航行のための艤装をフル装備したヤマハ・ファースト26〈アベニール〉。夕方~日没にかけての釣りを想定した実釣取材も行った

夜間航行をする場合は、まず航海灯が必須。また、レーダーあるいはレーダーリフレクターも装備しなければならない。法律で定められた装備のほかにも、例えば手元・足元を照らすライトが欲しいし、障害物が多いエリアならサーチライトもあると便利。安全のためには、大型船や海上保安庁などと直接交信できる国際VHF無線機も持っておきたいところだ

今回取材したヤマハ・ファースト26〈アベニール〉 は、ワイズギアの艤装品テスト&デモ艇であり、これらの装備がひと通りそろっている。当然、すべてのアイテムはワイズギアが取り扱うもので、全国の販売店などで入手可能だ。

各アイテムの詳細は下記に譲るが、最近の夜艤装で特筆すべき点の一つとしては、ライトのLED化がある。航海灯に関しては2年前に船検の基準が変わり、新造されるボートの航海灯はすべて新基準適合のLED航海灯になっているが、航海灯自体をあとから取り付け・交換する場合も、この新基準適合LED航海灯を使わなければならない(すでにボートに設置されている旧型の航海灯は、船検時に白熱電球を交換すればOK。白熱電球をLEDに取り換えるのはNGなので注意されたし)。

今回の〈アベニール〉では、サーチライト、デッキライト、室内灯に関してもLEDライトが使われている。LEDのメリットは、なんといっても寿命が長いこと。例えば三信船舶電具のサーチライト「HRL‐2070G/U」の場合、寿命は4万時間以上ということだから、基本的には電球を交換することはない。電球の交換を前提としないから水密性を高くすることができ、またハロゲンに比べて振動にも強いので、いざというときにつかない……という心配が少ないのは、価格差を補って余りある大きなメリットだろう。

さらに消費電力が小さいのもLEDの特長で、HRL‐2070G/Uでは従来のハロゲンライトの約3分の1だという。サーチライトやデッキライトは長時間連続使用するわけではないが、ファースト26のような船外機艇の場合、それでもバッテリーにかかる負担の軽減はありがたい。

なお〈アベニール〉にはアクセサリー用バッテリーのほかに、船首に装備したアイパイロット(GPS連動のトローリングモーター)の24ボルト電源として、ディープサイクルバッテリー2個を搭載。それらのバッテリーが上がってしまうのを防ぐために、ソーラーパネルによる充電システムが設置されている。

〈アベニール〉の夜艤装

高階救命器具
BSJ-26RS/SHINOBI

夜間航行でも安心、信頼性の高い固形式ライフジャケット(国交省承認品)。豊富な一体型の物入れやポケットは、手近に小物を置いておきたい夜釣りなどにとても便利。色はブラックとグレイ/リーフカモ(写真)がある。

1

日本無線
船舶用7インチカラーレーダー JMA-1032

出力4キロワット、1.5フィートのレドーム型アンテナを備える小型レーダー。7インチ縦型のモニターは、小型艇のコンソールにも無理なく設置でき、モニターにはタッチパネルを採用。操作のしやすさも魅力だ。さらに、価格も従来のレーダーに比べてかなり安く設定されている。

2

本多電子
デジタルマルチスキャン HE-773Ⅱ-Di

昇降式の振動子を回転させ、ボートの全周囲を探査できる装置。全周モードのほか左右方向を探査するボトムソナーモード、通常の魚探モードもある。今年初めにモデルチェンジし、新たにオプションでリモコンを用意。また、モニターの本体奥行きが約120ミリとなって、より設置しやすくなった。

3

マリンサービス児嶋
ユーロ130 LEDタッチ Red/White

白色/赤色に切り替えられるLEDライト。赤色の照明は、暗闇に目を移したときにも目が慣れやすいので、夜間航行するボートの室内灯やデッキライトに適している。明るさは20ワットハロゲンランプに相当。本体スイッチでON/OFFと光色切り替えができ、光量の調整も可能。サイズは最大直径129.5ミリ、最大厚さ29.5ミリ。

4

八重洲無線
スタンダードホライゾン GX2150J マトリックス AISプラス

AIS(船舶自動識別装置)受信機能を搭載した国際VHF無線機。自船周囲にある船舶の名前や呼び出し符号、進路、速度などの情報を表示する。互いの船舶が衝突進路にある場合は衝突予防警報が機能し、アラームが鳴る。AIS情報や、緊急、遭難情報をチャートプロッターに表示することも可能。

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5

三信船舶電具
LEDサーチライト HRL-2070G/U

200,000カンデラ以上=140メートル先で雑誌が読めるくらいの明るさを確保。寿命約4万時間で、消費電力はハロゲン仕様モデルの約1/3。360 度の旋回、俯角(ふかく)17度・仰角9度の操作は、有線のほかワイヤレスタイプも近日発売予定。電源はDC12ボルト/24ボルトのいずれにも対応。

6

岡田商事
ミンコタ・アイパイロットRT TERROVA80/IP-72

GPSに連動したアイパイロットを搭載するトローリングモーター。自船位置をキープするスポットロック、設定した方角に船首を向け続けるアドバンストオートパイロット、航跡や複数のポイントを記録しトレースするレコードトラックなどの機能がある。すべての操作を手元で行えるリモコンは、夜でも見やすいバックライト付き。

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7

小糸製作所
LED小型船舶用船灯

長寿命のLEDライトを使った航海灯(国交省承認品)。LEDならではの長寿命で電球交換は基本的に不要。そのため、空気を通すが水は通さない防水性能の高い構造のケースを採用することが可能となり、浸水やサビなどによる故障が格段に少なくなった。

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夕方~日没の実釣取材で夜艤装の使い勝手を実感

取材を行ったのは駿河湾。静岡県静岡市清水区にある三保マリーナを、日没の3時間ほど前に出航する。このように、最初から夜間航行でなくても、釣りをしているうちに日が暮れ、帰りが夜間航行になるケースは実際に少なくないだろう。

こういう場合、いざ暗くなったときに航海灯がつかなくて困った……という例も少なからずあると思う。しかし、長寿命LEDを使い水密性も非常に高い小糸製作所のLED小型船舶用船灯は、その心配が以前よりずっと少ない。もちろん、配線のトラブルなども考えられるから、出航前に点灯するかは必ずチェックすること。

ジギングでタチウオをメインにねらう予定だったが、清水港を出るといきなり波が高い。港外での釣りは諦め、港内に戻ってシーバスねらいのキャスティングに切り替える。

堤防に沿って流しながら、ストラクチャーを撃っていく釣り。アイパイロットがあると、船頭がいなくても釣りながらボートをコントロールできる。設定した船首方位を自動的にキープしてくれるモードを使用。スピードはリモコンで調整できるが、推力が足りないと思ったら、ワンタッチで最大推力に持っていける機能がなかなか便利だ。

船首のアイパイロットを降ろす。揚げ降ろし以外の操作はすべてリモコンで行うので、船内のどこからでもコントロールできる
これがアイパイロットのリモコン。バックライト付きなので、夜間でも問題なく使える

ボートの片舷側180度(ストラクチャー側)のみを探査するモードにしたデジタルマルチスキャン HE-773Ⅱ‐Diには、ときどきベイトらしい反応が出るが、アタリはない。いくつかポイントを巡っているうちに日が暮れてきた。

魚探よりも広い範囲を探査できるデジタルマルチスキャン HE-773Ⅱ-Di。ビームの角度を変えることで、水面直下から底まで探ることができる
HE-773Ⅱ-Diの振動子は昇降式。〈アベニール〉にはイケス内に取り付け可能な、手動式の折れ曲がりタイプがセットされていた。自動昇降式もある
写真は三信船舶電具の水中投下タイプの集魚灯。なお、集魚灯は海域によって使用が制限されているところもある
ポイントを移動しているうちに日が暮れた。LEDサーチライトのHRL-2070G/Uは、障害物の位置などを確認するのに役立つが、航海灯以外の灯火は必要なときだけ照射すること

ストラクチャーから離れ、今度は全周モードにして魚群を探す。根に付いている魚群を左前方に捉え、その上にボートを乗せて、アイパイロットのスポットロックをかける。最初に設定したポイントから1.5メートル以上離れると自動的に元の位置に戻る機能で、操船しなくてもボートが根から離れることがない。アイパイロット&HE-773Ⅱ-Di搭載艇ならではの、新しい感覚の釣り方だ。

捉えたいくつかの反応をねらい、ジグを落としたりエサ釣りでもやってみたが、2回ほどアタリがあっただけで、残念ながら釣果は得られなかった。リーダーがスパッと切られたものがあったので、タチウオがいたのかもしれない。

完全に日没となり、三保マリーナに向かう。清水港内は明かりが多く、夜間でもかなり周りが見える。ただ、明かりが多いだけに、大型船の航海灯などはその明かりに紛れてかえって見にくい。今回は、ディスプレーに自船を中心とした周囲の大型船や進行方向が表示されるGX2150J マトリックス AISプラス(国際VHF無線機)と、自船と防波堤の位置関係などがモニターで確認できるJMA-1032(レーダー)が非常に便利だった。

夜間は周りにフネが少なかったり、マリーナの営業時間外だったりすることも考えられる。大型船や海上保安庁などと交信できる国際VHF無線機、GX2150Jは、心強い連絡手段だ
省スペース設計により小型プレジャーボートにも装備しやすくなったレーダー、JMA-1032。夜間航行でレーダーがない場合は、必ずレーダーリフレクターを搭載すること
今回取材した清水港内は明かりが多く、日が暮れても真っ暗にはならなかった。ただ、大型船の航海灯などがその明かりに紛れて判別しにくい

またHRL-2070G/U(サーチライト)は、堤防やシーバース、マリーナの桟橋の位置や距離を確認するのに役立った。上下の向きもリモコンで操作できるので、沖合の真っ暗な海を想定すると、例えば水面を照らして漂流物の確認や、落水者救助の際などに威力を発揮するだろう。

船首には、足元を照らすフットライト型のLEDライトも装備。船首側で釣りをすることが多いシーバスや根魚のルアーキャスティングでは欲しくなる艤装だ
室内灯と同様に、デッキライトにも赤色のLEDライト、シーホーク 3W赤色LEDデッキライト(マリンサービス児嶋)を装備
ライトの明かりでルアー交換をしてすぐにキャストする際など、白色灯のように暗闇に目が慣れるまで時間がかかるということがない

このような艤装や装備があれば、夜間航行はより安全に、かつ快適なものになる。もちろん、レーダーやAISなどはあくまで航法援助装置で、夜は昼間以上にしっかり見張りをして、慎重に航行したいものだ。

この記事は「BoatCLUB 2016年10月号(舵社発行)」に掲載されたものです。法的な要件や商材等最新情報につきましてはワイズギアにお問い合わせください。