「世界一周」編 vol.2

ヤマハPAS、北米~スカンジナビア3,600kmを快走。

この記事は、2012年11月以前のY'S GEAR CLUBの記事です。

カナダ北部はスノモのパラダイス!
ヤマハPAS、北米~スカンジナビア3,600kmを快走。

今年の2月~4月にかけて沖縄から北海道までの2,300kmを「運動器の10年・世界キャンペーン」(WHO承認活動)の大テーマを掲げて、日本の100人の障害者と共に元気に走り抜いたヤマハPASが、今度は、その世界キャンペーンのゴールとなるスウェーデンに向けて北米・スカンジナビアを快走中です。

サイクリストは、いつもの私(風間)とテツ(田中哲也/パラリンピック・スキー日本代表選手)、そして所々で現地参加する日本の整形外科の医師たちです。が、基本はいつも私とテツの二人。
7月23日のクソ暑いインディアナポリス(あのインディー500をやっている市)を後にして、デトロイトからカナダに入り、モントリオール、ケベックを経て、ニューファンドランド島。そして、ノルウェーの西海岸の街・ベルゲンからスウェーデン・ルンドまで、総延長3,600kmの旅です。(この旅は、風間が2007年にマジェスティで行なったユーラシア横断、そして2008年のトラックとSUVによるアフリカ縦断、そして2009年の自転車によるオーストラリア大陸横断、さらには、先にマジェスティで行なった南米大陸縦断からバトンを受け継ぐ世界一周の最終パートとなります。)

テツは右足が根本から無く、私は左膝・足首・足指が曲がらず、二人ともバランスの取れたペダリングは不可能なのですが、PASの電動アシスト機能に助けられ、途中の山有り谷有りの難所もモノともせず、毎日100~120kmの快進撃を続行中です。

今日現在私がいる場所は、これまでの何処よりも美しい風景のニューファンドランド島。朝夕の気温は14~17℃という“涼しい”を通り越して“寒い”くらいの陽気の中、右手にセントローレンス湾の青い海を眺め、左手にタイガとツンドラの森と原野、そしてロッキーのような美しい岩山を見ながら、テツと二人「何だか景色がどんどんと良くなってくる感じだな~」などと言いながら走っています。

(左)セントローレンス川を望む風間とPAS。(右)セントローレンス川で遊んでいた家族と記念写真。左端がテツ。

実際ここまで、最初はアメリカの広大な国土と農園の規模にたじろぎ、カナダに入ってはセントローレンス川の畔に展開する優雅な水辺の住居、そして人々の遊び(キャンピングやバイク、そして、ボートやカヌー、自転車、ヨット、マリンジェットなどなど)に対する飽くなき姿勢に感心させられ、カナダ北部に至ってからは、沿道の両サイドに展開する毎日の自然の美しさ、景観に心は完全に魅了される毎日だった。

自然が色濃くなればなるほど、景色は美しく(逆に言えば、蚊や寒さなど人間には厳しい環境になって人の数は減少し、自然は人に対して厳しければ厳しい程にその美しさを増す――と言う言葉もある)、そして人々の心は優しくなったような気がした。

(左)PASに乗っていると、どこかで人と会い、期せずして試乗会になる。これはカヌーの人たち。(右)モービルが大好き!と語るおじさん。いろいろな話を教えてくれた。

ケベック以北で出会ったバイクのおじさん、ツーリストガイド、僻地に住んでいる猟師の男たち。共通項はみんな優しく、そして、スノーモービルが大好きな人たちという事だった(これ、本当。二番目はハンティングか釣り)。
『ケベック州は世界でも一番のスノーモービルのパラダイスさ!』
キャンプ場で会ったおじさんの話によると――ケベック州のスノーモービル人口は30万人、あちこちの森の中や川の上、原野を繋ぐモービルのトレイルは実に3,600kmに及び、夏の間は道路が無くて行かれない所でも、冬は自由に行けるようになる。遠くはなれた村へも、普段は進入出来ない野生動物(カリブやディアー、ムースなど)の生息地帯にも簡単に行ける。『だから、みんなモービルが大好きさ、どこの街にも大抵モービルのコミュニティー・クラブは1,000人規模のが一つや二つはあって情報交換が盛んに行なわれるんだ(笑)』とのこと。
大自然に暮らす男たちは優しく、そして、生活を支え楽しむ事の出来るモービルやクワド、船外機には大いなる興味をもっている様子だった。

――テツと二人、PASのペダルを踏みしめ、様々な自然と人々に出会いながら、8月27日にはノルウェーに入ってゴールのルンドを目指します!

(左上)ボートにPASと乗り込んでご満悦の筆者。(右上)ボートの船長のビクトールは、航海中海図を片手に真剣な顔つきだった。(左下)我々が乗ったチャーターボートは、頼もしいV6・3000の200HPのエンジンが二基だったから安心だった。(右下)ボートで航海をして上陸したハリントン・ハーバーはクワドがいっぱいだった。

プロフィール 数々の冒険の傍ら、バイクツーリングクラブ「MAC」のリーダーや、椎名誠氏率いる「いやはや隊」メンバーとして、さらにフィッシングクラブ「FAC」の会長、全国各地での講演や「地球元気村」の開催など、多方面で活動。2008年 WHO承認活動「運動器の10年」世界運動国際親善大使に就任。
*NPO法人「地球元気村」代表
http://www.chikyu-genkimura.com/