やっぱり最高、富士は日本一の山!

いい天気に恵まれ、元気でいることに感謝した、人生9度目の富士登山。

この記事は、2012年11月以前のY'S GEAR CLUBの記事です。

やっぱり最高、富士は日本一の山!:写真

「地球に遊ぶ」 COLUMN11第1回

やっぱり最高、富士は日本一の山!

日本の最高峰・富士山(3776m)には「登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」という言葉がある。意味は「日本一高い富士山に登りたいと思う人は数多い、が、単調で変化のない富士山に二度も登るのは馬鹿げている」という訳だが、今回が9度目となる富士山に登った。

8月下旬のウィークデイ。まだ夏休みの期間ということもあり「富士スバルライン」終点の五合目広場は大勢の人々でひしめき合っていた。家族連れ、学校関係や社会人の団体、そして外国人の姿も相当数…中国、韓国、欧米人、その他、さすがに世界の富士山だ。その目的は五合目の観光のみで帰る人、ここから山頂を目指す人(一昨年実績は33万人)と色々である。

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(右)五合目の広場に押しかけた沢山の人々。(左)一緒に登った仲間です。左から小池さん、ゲンちゃん、朋ちゃん、Eちゃん、初美ちゃん。

五合目からは「御中道」を東へ迂回して上部六合目に至る。小型の20Lザックに500mlペットボトルを三本、薄手のフリース、GORE上下カッパ、ヘッドランプ、カメラ、その他を中に入れ、ズボンのポケットには氷砂糖などの非常食も突っ込んで気楽な一泊二日、広場からボチボチと歩き始めた。

歩き出して5~6分、行き交う登山客のほぼ7割(?)が何と、うら若き女性達であることに驚いた。世に言う"山ガール"である。その出で立ちは?=スパッツの上にミニスカート、アームカバー、帽子、バンダナ、小型ザック、ストック、etc。頭の先からつま先まで実に派手ファッショナブルな装備で身を固め、新感覚で山を楽しむ21世紀の「突発型女流登山家」達である(いつまで続くのだろう?)。とはいえ、時代の男どもよりもはるかに素晴らしい決断力と行動力を持ち、「柔」(やわ)かと思えば、かなりの難易度の山にも登ってしまうから、とても侮れない。世は女性台頭の時代、これも時代の趨勢かも知れない(イエイ)。

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六合目から上部にジグザグの道を歩く「山ガール」たち。

六合目以降の登山道はジグザグを繰り返して急上昇をはじめ、七合目以降は岩場となる。高度は2500m~3000m。希薄な酸素量に頭痛と吐き気を伴う「高山病」に倒れる人達を目にした。岩にもたれかかり青白い顔をした若き女性に「どうしましたか?」と訪ねると、「7合辺りで高山病になって降りるところ、連れ合いの彼氏には山頂に一人で行ってもらいました」(何とも可憐な心がけだが、七合から山頂へは早くても4時間、降りるのに4~5時間。彼女は長い長い時間を五合目で過ごすことになる。もしも彼氏が自分だったらどうしただろうか?)。他にも、子連れの親子、老夫婦、若い青年達など、多くの人達が明らかな高山病の症状を訴えていた。富士登山の壁は、1に高山病、2に長丁場の歩きにある。高山病を回避するためには、出来るだけ五合目でゆっくりと滞在して、ゆっくりゆっくりと登り、水分を多く摂り入れて身体の代謝に心がける。一本1200円(10L)の酸素ボンベが山小屋では飛ぶように売れるが、連続噴射二分で"お終い"になる酸素は、瞬間的には救われる気分だが所詮は「気休め」だ。

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(右)夏の期間限定だが、山頂には〒局がオープンしていた。但しハガキ一通が1000円もする。(左)山頂で食べたラーメン(インスタント)は味噌が900円。高いけどひたすら最高に旨いのでした。初美さんの大口です。その他、甘酒が400円、水が500円、カレーが1000円だった。

予定の八合目の山小屋(白雲荘250人収容)には夕方に着いた。夕食に出たハンバーグ・カレーが、これまでの人生で出会った最大の旨さにも思えた。9時就寝、3時起床、4時出発。山頂で御来光を目指す人達はもっと早く12時とか1時に出発(皆、富士山では何かに取り憑かれたように行動する)。

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(右)酸素入りの水を買ってきた朋ちゃん「これ効くんですか?」、「あまり意味無いですね~」とは富士山ガイドの小池さん。(左)午前0時30分、御来光を山頂から望む計画の人達が山小屋を出発。

翌午前4時40分、東の地平線が白々となり、5時丁度、房総半島の辺りから陽が昇った。何とも神々しい風景に暫し見とれ言葉を失う。今日もいい天気に恵まれ、元気でいることに感謝した。

八合から上部へは急峻な岩場に幾つか(二つ)の鳥居が立つのみで小屋は無い。下界に展開する美しい絶景に励まされ一歩一歩山頂を目指す。そして遂に、「山頂」に立った(8時35分)。ここが日本で一番高い所。そこに居る気分は、天下を取ったような、日本を足元の一点で満喫するような、何とも言いようのない充足感とゴール感だった。

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(右)この世の頂点にも登った気分の富士山頂からは遠くの浅間山、北アルプス、谷川岳など全部が見えた。(左)ぱっくりと口を開けた富士山の火口。正面が測候所のあった最高地点(3776m)。

冒険家 風間深志:写真

プロフィール 数々の冒険の傍ら、バイクツーリングクラブ「MAC」のリーダーや、椎名誠氏率いる「いやはや隊」メンバーとして、さらにフィッシングクラブ「FAC」の会長、全国各地での講演や「地球元気村」の開催など、多方面で活動。2008年 WHO承認活動「運動器の10年」世界運動国際親善大使に就任。
*NPO法人「地球元気村」代表
http://www.chikyu-genkimura.com/