宇宙の原理・法則に基づく二輪の秘密?

私のバイクの出発点とも言うべき、あの16才の「霞森山」の原体験からずっと、私はバイクのハンドルを片時も離すことなくその後も乗り続けた。

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KAZAMA SHINJI COLUMN 「地球に遊ぶ」

Vol.50

宇宙の原理・法則に基づく二輪の秘密?

CATEGORY:地球に遊ぶ

私のバイクの出発点とも言うべき、あの16才の「霞森山」の原体験からずっと、私はバイクのハンドルを片時も離すことなくその後も乗り続けた。他のどんな遊びがあっても常に選択肢は「バイク」、受験勉強そっちのけの「バイク」、彼女なんかには目もくれずに「バイク」、という具合に常にバイクが選択肢の最優先課題だった。から、本気で自分の未来もバイクの中に投影し、バイクで切り拓いて行く人生を信じて疑わなかった。

▲私たちライダーを惹き付けて止まない大自然(今年春の阿蘇五岳)。

そんな中、常日頃私たちの心を惹き付けて止まないバイクについて…「なんで、これほどバイクは素晴らしいのか?」また「その魅力とは一体何なのだ?」と、いつも真剣に考えてきた。結果として云えるのは、バイクの魅力は=「自然」の魅力に尽きる!と云うこと。つまり私たちを取り囲む一年、四季折々の自然の「営み」と、そこに映し出される光や影。山々の自然や高原のそよ風、湖や森、はたまた砂漠や海など、この世の有りとあらゆる地上の様相(地球に広がる無限のフィールド)が、私たちライダーの心を魅了して止まないということ。
しかも、身ひとつ剥き出しでバイクに跨るライダーと自然との出会いはこと更に「極上」だ。道中、不意に出会った動物や植物、人。旅の夜空に輝く「星々」、清々しい「朝靄」と、地平線に沈む「夕陽」などなど、上げはじめたらきりがない程の情景が心の中に浮かんでくる。孤高で、感性が剥き出しのライダーだから、こと更に強いインパクトを受ける。
「バイクの一日には、一年分の感動が待ち受けている」と、僕は心底そう思っている。味わい深く、また感動の多い人生を送りたいのならバイクに乗ればいい!と、思う。そこは日常の薄っぺらな感動とは明らかに一線を画す「人が生きるって、こういうことなんだ!」と、宇宙の本質を貫く(オーバー?)衝撃的な感動が、必ずや待ち受けているからお薦めだ。

▲赤いゲートを目がけ、夕方になると続々とゴールする参加者たち
▲地元の炊き出しのおばちゃんたちの盛大な拍手がやってくるライダーたちを出迎えた。
▲夜の21時から始まった「ゴール祝賀会」のメインゲストは音楽家の宇崎竜童さん。

5月の晴天下、太陽を一日中追いかけたライダーたちがいた。

太陽の日照時間が一年中で最も長い「夏至」より、少し早い5月の25日~26日、バイク乗りとしての原点回帰が売り物のイベント「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」(通称SSTR)が、ゴール地となる石川県・千里浜の浜辺に延べ550人のライダーを集めて行われた。
昨年秋の開催から2回目となるこのイベント。一口にとても好評だった。その秘密は(主宰する自分が言うのも何ですが)、人間活動の原点となる「東の海に昇る朝陽を合図に走り始め、西の海に沈む夕陽を追いかけゴールする」という極めて単純明快なルールの基、数百キロを走りながらにして日本列島を横断するという一大快挙と走りのダイナミズムを同時に味わうことの出来るというゲームという点に人気が集まった。現代社会に生きる私たちが、一年の内で朝陽と夕陽を眺める一日が何度あることだろう?SSTRは(先述の)そのようなバイク本来の魅力と持ち味をもう一度ここで見直し、イベント化。
第2回目の参加者内訳は全国35都道府県から506台、523人(17台のタンデム)+パーティのみの参加ライダー30人、都合553人の「千里浜」ミーティングだったが、この内、なんとAM4時30分の有明海の日の出からPM19時01分の千里浜の日没までの14時間30分で、オーバー1000㎞を走り切ったライダーが3名(熊本)もいたのには、とっても驚いた。

▲各種カテゴリーで表彰者に送られるSSTRのアクリルの盾(中に千里浜の砂が入ってる)。
▲TT250に跨り、特設ゲートで記念写真に納まるのは高知県桂浜からスタートした阪入剛裕さん。

5SSTRのルールは=「Coast to Coast」海から海へだから、内陸に住むライダーにはわざわざ一旦、海(太平洋、瀬戸内海、東シナ海)まで出て頂いた所からの参加となって大変に恐縮なのだが、何処から走り始めようとも参加者はみんな、一日の「超」の付くロングランと、山のような旅の出会いと感動を携えてのゴールにその感慨もひとしお。沢山の拍手に出迎えられ、ゲートをくぐるライダーたちの姿を見ていると、その多くがヘルメットの中で目頭を熱くしていたのがとても印象的だった。

See you next year in CHIRIHAMA!!
▲2日目の昼、もう大部分の人は帰ってしまった残り?の人達で今年の記念写真。

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