高知「土佐・桂浜」

龍馬に逢いたい

この記事は、2012年11月以前のY'S GEAR CLUBの記事です。

SEROW250

歴女ひとり旅「土佐・桂浜」 龍馬に逢いたい

幕末の英雄として多くの人々から愛され続ける坂本龍馬。
世界を夢見て、未来を夢見て33年という激動の人生を駆け抜けた龍馬。
その彼の生まれ育った土佐へ、
歴女が「SEROW250」で出かける1泊2日の旅。
たどり着いた先には、時代を超えて出逢う感動と新たなる発見があった。

幕末のヒーローゆかりの地、土佐へ

土佐。現在の高知県のことを人々は昔、こう呼んでいた。幕末の激動の時代に、ひとりのヒーローが生まれた。それが土佐出身の坂本龍馬。そして今、大河ドラマのテーマとなったことを機に“龍馬ブーム”が起きている。
歴女と呼ばれる彼女にとってもヒーローは今、坂本龍馬だ。歴女とは、歴史好きの女性のことを指す造語。最近はこういった歴女が増えているという。また、彼女は歴女であると同時にライダーでもある。愛車はタフでスリムなボディを持つ「SEROW250」。自然がよく似合い、熟成されたマウンテントレール機能でたくましい走りをみせるマシンだ。
そんな彼女が今回計画したのは「龍馬に逢いに行く旅」。目的地は龍馬の出身地、土佐だ。ETCを搭載したバイクにツーリングバッグを装着。バイクでの旅に、今やこの2つのアイテムは便利で欠かせないものとなっている。早朝、彼女は愛車に跨がって出発した。順調な走りをみせるバイクは、ETCのおかげで高速道路も滞りなく進むことができ、本州からまずは淡路島へ。そして、鳴門海峡を横目に四国への入り口である「大鳴門橋」を渡り、土佐へと走った。

鳴門海峡にかかる吊り橋「大鳴門橋」を走行するSEROW250。

(上)四国へは渦潮で有名な鳴門海峡にかかる吊り橋「大鳴門橋」を渡る。まさに爽快な気分だ。(左下)途中のサービスエリアで休憩。(下中右)高速道路はETCが便利。料金所もスムーズに通行できる。

龍馬の愛した桂浜で出逢う喜び、そして感動

高知インターから先、目指すは龍馬像のある桂浜だ。桂浜は、高知市南部に位置する太平洋に面した海岸で東側にある龍頭岬(りゅうづざき)から西側にある龍王岬(りゅうおうざき)の間を弓状に広がっている砂浜を指す。
高知インターから約30分。桂浜に着いた。「これが龍馬の愛した桂浜なんだ」。バイクを停め、海のすぐそばまで近づく彼女。眼前に広がる海の色は地元の海とは違う鮮やかな青。その景色はとても美しく、印象的だった。
龍馬像は浜から階段を登ったその先にあるという。そこには和服にブーツ姿で懐手の坂本龍馬がいた。“ついに逢えた”。彼女は背中のバッグからカメラを取り出し、龍馬像を写真に収めた。このバッグも彼女のお気に入りのひとつである。背負ったままバイクで走れるツーリング専用バッグで、すぐに取り出したいものを入れておくのに便利だ。龍馬像の立つ高台からしばらく海を眺める。憧れの龍馬と同じ景色を見る感動を彼女は味わっていた。
近くには、「坂本龍馬記念館」がある。龍馬の生涯を記述した資料や、貴重な展示物が数多くある。まさに、龍馬三昧な一日を過ごし、彼女は桂浜を後にした。

その昔、龍馬が歩いたであろう桂浜を散策。太平洋の青く雄大な景色は気分を開放的にする。現在、一帯は桂浜公園として整備され、見どころが多く、月の名所としても知られている。

桂浜の龍頭岬の上で、太平洋のはるか彼方を見つめている、ブーツ姿の坂本龍馬像と対面した。海を眺めながら、龍馬は今のこの時代の日本をどう感じているのだろうか。

桂浜公園内にある「坂本龍馬記念館」。年表や関係歴史資料などがあり、龍馬のことを知るには、外せないスポットだ。

桂浜を背に夕陽を浴びながら、龍馬への思いを胸に桂浜花街道を「SEROW250」で走る。その景色はとても美しく、この旅の大切な思い出となった。

山内一豊が築城した南海の名城・高知城

土佐の旅、2日目は市街へ。目的は高知城だ。ツーリングバッグに荷物を詰め込み、出発の準備をする。今回のような泊まりの旅には、荷物も収納できてコンパクトにまとめられるツーリングバッグが欠かせないだろう。バイクにバッグを装着したら出発である。
街の中を「SEROW250」は軽快に走り、目的の地、高知城へ。高知県のシンボルといえるその城は、高知市内の中央に位置する高知公園内にあった。目の前は県庁だ。高知城は、関ヶ原の戦いの功績で領主として静岡県の掛川から土佐に入国した山内一豊が建てた城だ。そして掛川城を模してこの高知城を造らせたといわれている。また、天守閣と付随する本丸のすべての建物と追手門が残っているのは、全国でも高知城だけ。そして、追手門と天守閣がひとつのフレームに収まるのもこの城だけなのだという。
「よしっ。ここがベストポジションだ」。そういって彼女もその姿を写真に収めた。
バイクを駐車場へ停め、城の中へと進む。追手門を通り、天守閣へと向かう途中に、山内一豊夫人の像があった。賢妻で知られる千代だ。そして、天守閣に上り、最上階の廻縁高欄から高知の街並みをゆっくりと眺めた。
最後に山内一豊の像と出会う。そして振り返り、高知城を見る。時代を超えても変わらない、その優美さ。その風格。だから歴史は面白い。そんなことを感じながら愛車とともに土佐の地を去った。

(上)堂々たる風格が漂う、高知城の正門・追手門。門の両側に石垣を積み上げ、門前が枡形状にしてあり三方から攻撃ができるように造られている。(下)もちろん歴史の勉強も忘れずに。

(左上)南海道随一の名城と呼ばれる高知城をバックに「SEROW250」と。(左下)追手門の先にある、妻の千代と馬の像。(右下)重要文化財である天守閣。最上階の外側にある高欄から高知の街を眺める。この高欄は山内一豊が江戸幕府に許可を受けたもの。当時の四国では高知城のみの珍しいものだったという。

土佐初代藩主、山内一豊の像。高知城追手門の脇に建っている。

よさこい節のフレーズにもなっている「はりまや橋」。元々は江戸時代に作られた木造の私橋。

高知城のすぐ近くにある「ひろめ市場」で、ランチに鰹のタタキ丼を注文。ここは60以上の店が連なる巨大な屋台村といった感じ。中央広場のテーブルで、地元の人と観光客が入り混じりながら、にぎやかに食事を楽しめる。